夏休み特別篇

第17回  夏休み特別篇

 私は毎年夏になると長い休みをとって田舎に帰省します。それも日本の常識からすると異様な長さの休暇です。今年は39日間の休みを取りました。一般企業なら、同僚、上司からは「アイツにはやる気がない!」というレッテルを貼られ(貼られてるかも・・・)、それどころか、とっくにクビになっていることでしょう。
 どうしてこのように長い休みを取るのかというと、田舎に帰って色々実家の雑用をするためです。と言うのは、7年前に母が亡くなって以来、田舎の家は無人住宅となっているからです。
 ご存知かも知れませんが、無人の家というのは傷みます。例えば雨漏りがあったとしても、そこに住んでいれば、すぐに気がついて修理します。ところが、住んでいないと、雨漏りに気付かずそのまま放置してしまう結果、滲み込んだ雨水が家をだんだん腐らせてしまうのです(田舎の実家は木造です)。
 それと、家の裏に畑があって、雑草がすごいのです。春先にも帰省して簡単に草取りをするのですが、その時は、カラスノエンドウがまるで絨毯を敷き詰めたように畑を覆っています。実際、茎を刈りながら、カラスノエンドウ絨毯を巻きとっていきます(正しい取り方かどうかは別にして)。あの雑草の勢いを見ると、人が住んでいて、初めて勝負は五分々々なんだと思います。
 そういう事情があって、夏に長期休暇を取って、草取りや家の補修をするわけです。
 ところで、猛暑の中、地面に這いつくばっていた結果、脳みそが蒸発してしまって、まともなものが書けませんでした(いつもはまともなのか!)。そこで、今回の「ちゅうごくちゅうどく」は「夏休み特別篇」として、私の実家をご紹介いたしましょう。
 
  ←まず、雑草が生い茂っている畑
草取りの後・・・   
 草取りは約二週間かかります。というのも、朝ニ時間くらいしかできないからです。二時間草取りをしていると、シャツ、ズボンは、まるで服を着たままプールに飛び込んだかのような状態になります。
 次は、庭の様子です。最初の2枚は、手入れをする前の状態です。
 手を入れた庭です。草をとった後、庭師に入ってもらいます。
 花壇と朝顔。花壇の花は帰省してから植えたもの。朝顔は6月頃植えておきました。
 この夏のメインイベントは、私の書斎を作ったことです(下の写真)。この部屋は、ずっと下部屋と呼ばれていました。昔は、ここに女衆(下働きをする女の人)が寝泊りしていたので、そう呼ばれたのだそうです。その後、祖母の部屋となり、母の部屋となりました。最近、ビー玉が転がるほど床が傾いてきたので、土台から作り直しました。そして、家中の本、パソコン、オーディオ、TVをこの部屋に集めました(TVは他の部屋にもあります、娘と妻用に)。
 上の写真にも写っていますが、これは、ベルギーに行ったときに、店のオバはんに「50年後には、100万円になる!」とそそのかされて買ってしまった刺繍のテーブルクロスです。
 これを飾りたいばっかりに丸テーブルを買ってしまいました。
 家にある中国関係のものを少し紹介しましょう。まずは、玄奘三蔵の掛け軸です。以前、美術館で買った拓本を掛け軸にしたものです。
 昔からある、老子像。どういう訳か、これを見た多くの人は孔子様だといいます。しかし、この像は、牛に乗っているところから老子に間違いないと思います。台座は今年の九州旅行で長崎に行ったとき中国家具屋で手に入れたもの。
 説明がないと意味がわからない掛け軸。この図柄を「魁星点斗」と言います。全体はすべて文字で出来ています。サルのような人物のような部分は「正心修身、克己復礼」という文字で書かれています。その人物が「鰲(ごう:ウミガメ)」という字に乗って、「斗(北極星)」を蹴飛ばしています。詳しいことは省略しますが、試験のお守りの一種です。昔の中国で「試験」と言えば、科挙です。科挙を受験する者は、この絵を飾って合格祈願をしました。
 奥座敷の襖絵です。すべて、仙人を描いたものらしいです。右の絵は「琴高」という仙人で、鯉に跨って天に昇っていく(又は、池に入っていく)ところです。
 家にある掛け軸の中で最も大きいものです
 大きすぎて床の間には掛けられません。
 上の掛け軸を拡大した写真です。玄奘三蔵が天竺から帰国した時、太宗がその偉業を讃えて作らせた「三蔵聖教序」(写真左)の拓本で、ちょ(字は写真右を参照)遂良の筆になるものです。
 目下の最大の悩みが、敷地内にある「山の神さん」というお社の御神木?です。道を隔てて向こう側にあります。これが、とてつもなく大きいのです。秋になると葉を落とすのですが、一応、私個人の所有の木なので、落ち葉を掃く責任は私にあります。そのころは仕事が忙しいのでなかなか帰省できず、近所の人が掃くことになります(二階から撮影)。
 最後は、健気に生きる池の鯉です。月に一度は帰るようにしていますが、言い換えれば月に一度しか餌がもらえない鯉なのです。最初は、とても生きられないだろうと思っていました。しかし、池の壁面に生えるコケとか、ホテイアオイの根などを食べ、ずっと生き続けています。
 「夏休み特別篇」として、私の田舎の家を紹介しました。
  最後に、私の偽らざる気持ち
 「持ち家は金がかかる!」

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